シリコン

チョクラルスキー法で育成されたシリコンの単結晶、ミュンヘンのドイツ博物館。
チョクラルスキー法で育成されたシリコンの単結晶、ミュンヘンのドイツ博物館。写真:Massimiliano Lincetto, CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons

シリコンは、 エレクトロニクス全体が拠って立つ材料であり、 ニュートリノボルタイックでは、 積層の一方の半分をなす。 もう一方の半分はグラフェンである。

地殻で二番目に多い元素

酸素に次いで、シリコンは約 28 パーセントで、 地殻の最も多い構成要素である。 ふつうの砂にも、石英にも、ほとんどあらゆる岩石にも含まれている。

もっとも、自然界に純粋な形で存在することはない。 砂から半導体結晶までの道のりは、 産業のなかでも最も手間のかかるものの一つである。 アーク炉での還元、トリクロロシランを経る精製、 そして最後にチョクラルスキー法による単結晶の引き上げである。 マイクロエレクトロニクス向けには、 99.9999999 パーセントの純度が求められる。 10 億個のシリコン原子に対し、 異種原子は多くとも一個である。

よりによってシリコンである理由

その理由はバンドギャップにある。 固体中で電子は特定のエネルギーしかとることができない。 半導体では、 満たされた価電子帯と空の伝導帯とのあいだに隙間が開いている。 シリコンではそれが 1.12 電子ボルトである。

この値は幸運な選択である。 人間によってではなく、自然によってである。 それは、室温での熱運動が絶えず電子を持ち上げてしまわない程度に、 大きい。 そして、光によって、電場によって、 導入された異種原子によって、 狙ってそれを行える程度に小さい。

トランジスタ、太陽電池、イメージセンサーは、 まさにそれに基づいている。

ドーピング

結晶格子に異種原子を導入すると、 その振る舞いは根本的に変わる。

リンはシリコンより外殻電子が一つ多い。 余った電子は結合の相手を見つけられず可動になる。 これを n 型ドーピングと呼ぶ。

ホウ素は一つ少ない。 正電荷のように振る舞う欠損が生じる。 これが p 型ドーピングである。

両方の領域を合わせると pn 接合が生じ、 それは電流を一方向にしか通さない。 この整流はあらゆる半導体技術の核心であり、 ニュートリノボルタイックが取りかかる点でもある。

ニュートリノボルタイックにおけるシリコン

特許 WO2016142056A1 は、 グラフェンとシリコンが交互に堆積されたフィルムを記述している。 10~20 の層、とりわけ 12 層である。 シリコンの割合は 10~80 パーセントとされ、 とくに好ましいのは 25 パーセントである。 粒径は 5~500 ナノメートルのあいだとされている。

この寸法の記載が興味深い部分である。 ナノメートル領域のシリコンは、 塊状の結晶とは異なる振る舞いをする。 バンドギャップが移動し、 表面と体積の比がきわめて大きくなり、 内部に対して界面の重要性が増すのである。

同グループの説明においてシリコンに割り当てられる役割は、 導体媒体のそれである。 グラフェン格子で生じた運動を受け取り、 それを支持材へ渡すのである。 グラフェンが構造を与え、 シリコンが電荷の通り道を与える。

太陽電池との違い

太陽電池もシリコンを用いるが、その使い方は異なる。 そこでは入射した光子が電子をバンドギャップの上へ持ち上げる。 光がなければ何も起こらない。 太陽電池はであり、その産出はこの面積とともに増大する。

これに対しニュートリノボルタイックの、 基本方程式体積について積分する。 したがって産出は、 光が当たる面積ではなく層の数とともに増大するとされる。 より詳しくは、 太陽光発電との比較のページにある。

その他の用途

シリコンはさらに、 多くのニュートリノ検出器の材料でもある。 高純度のシリコンやゲルマニウムによる半導体検出器は、 エネルギーをきわめて正確に測定する。 それらはニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の、 探索を支え、 原子核でのコヒーレント散乱のための、 小型検出器を支えている。

こうして同じ元素が、 この Wiki の両側に現れることになる。 ニュートリノを測定するための道具として、 そしてニュートリノからエネルギーを得ようとする試みの材料としてである。

関連する項目

出典

  • WIPO: WO 2016/142056 A1、組成および粒径に関する請求項。
  • Neutrino® Energy Group: Neutrinovoltaic, neutrino-energy.com.