SN 1987A

SN 1987A は大マゼラン雲で起きた超新星であり、 およそ168,000 光年の彼方にある。 その光は1987年2月23日に地球へ届いた。 そしてその数時間前には、 すでにそのニュートリノが届いていた。
これは光以外の使者によって観測された最初の超新星であり、 ニュートリノ天文学の始まりであった。
24件の事象
三つの検出器が数秒のうちに信号を記録した。
| 検出器 | 場所 | 事象 |
|---|---|---|
| Kamiokande-II | 日本 | 13秒間に11件 |
| IMB | オハイオ州の岩塩鉱 | 6秒間に8件 |
| Baksan | カフカス | 5件 |
合わせて24件の事象である。 今日の設備が供給するであろうものと比べれば、 それは無に等しい。 Hyper-Kamiokandeは、 われわれの銀河で超新星が起きれば数万件を見込んでいる。 それ以前に知られていたものと比べれば、 それはすべてであった。
ニュートリノが先に来た理由
時間の先行は一見すると矛盾して見えるが、 それは重力崩壊の模型についての最良の証拠である。
重い星の中心核が崩れると、 何分の1秒かのうちに中性子星が生じる。 そのとき解き放たれるエネルギーのおよそ99 パーセントがニュートリノに向かう。 ニュートリノはほとんど相互作用しないため、 ただちに星を離れる。
これに対して光が生じるのは、 衝撃波が星の外層に達してそれを輝かせたときである。 それには数時間かかる。
したがっておよそ3時間という先行は珍事ではなく、 裏づけられた予言である。
そこから導けたこと
エネルギー収支。 24件の事象から、 放射されたニュートリノのエネルギーの総量を見積もることができた。 それは中性子星の形成について理論が要求するものと一致する。 これによって重力崩壊の模型は、 もはやもっともらしいだけのものではなく、 測定されたものになった。
ニュートリノ質量の上限。 ニュートリノはエネルギーが異なっていたにもかかわらず、 数秒のうちに到着した。 はっきりとした質量をもっていれば、 遅いものは目に見えて後から着いたはずである。 168,000 光年という飛行の距離では、 ごくわずかな質量でも効いてくる。 この時間の狭さから上限が導かれ、 それは当時としては最良の部類に入るものであったが、 今日ではKATRINがはるかに下回っている。
寿命の下限。 ニュートリノがそもそも到着したという事実は、 それが168,000 光年のあいだ崩壊しないことを示している。
星そのものについての驚き
前身となった星は、 古い写真のなかで同定できた。 Sanduleak −69° 202 である。 そしてそれは青色超巨星であった。
これは、 この型の超新星は赤色超巨星から生じるという当時の定説に反していた。 理論は手直しされなければならなかった。 たった一つの事象がまるごと一つの模型を正しうるということの、 よい例である。
見つからなかった天体
ニュートリノが中性子星の形成を示すのであれば、 そこには中性子星があるはずである。 しかし何十年ものあいだ、 それは見えなかった。 爆発の塵がすべてを覆い隠していたのである。
2019年、 電波望遠鏡 ALMA が、 予想される位置に異様に温かい斑点を見つけた。 2024年にはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測がそれに続いた。 中心部にある特定の元素の電離は、 コンパクトな天体の放射によって最もよく説明できるというものである。
こうして24個のニュートリノからおよそ40年を経て、 円環はほぼ閉じる。
二度目がなかった理由
この種の超新星は、 われわれの銀河ではおよそ1世紀に1回から3回起こると見積もられている。 1987年以来、 ニュートリノ物理学は次のものを待っている。
そのため今日では複数の検出器が早期警報の網に結ばれている。 二つ以上が同時に急激な増加を報告すれば、 数分のうちに世界中の観測所へ警報が届く。 今度こそ光の最初の数時間も観測されるようにするためである。
関連する項目
- ニュートリノ天文学 — 生まれた分野
- 小柴昌俊 — Kamiokande-II の運営者
- フレデリック・ライネス — IMB 検出器の建設への参加
- Hyper-Kamiokande — 次に向けた備え
出典
- K. Hirata ほか(Kamiokande-II): Observation of a neutrino burst from the supernova SN1987A, Physical Review Letters 58, 1490 (1987).
- R. M. Bionta ほか(IMB): Observation of a neutrino burst in coincidence with supernova 1987A, Physical Review Letters 58, 1494 (1987).