ダニエル・Z・フリードマン

ダニエル・Z・フリードマン(Daniel Z. Freedman)(1939年生)は、 アメリカ合衆国の理論物理学者である。 コヒーレント弾性ニュートリノ原子核散乱の予言は彼に由来する。 今日、 鞄ほどの大きさのニュートリノ検出器を可能にしている効果である。

彼はそのほかに、 理論物理学のまったく別の分野である超重力理論の創始者の一人としても知られている。

1974年の予言

フリードマンは1974年、 その少し前に裏づけられた弱い相互作用の理論から、 直接の帰結を引き出す論文を発表した。

Gargamelleは1973年に中性カレントを検出していた。 ニュートリノが自らの正体を変えることなくZボソンを介して相互作用する過程である。

フリードマンは、 低いエネルギーのニュートリノが原子核全体に当たったときに何が起きるかを問うた。 彼の答えはこうである。 十分に小さいエネルギーでは、 ニュートリノは個々の核子をもはや区別できない。 そのときニュートリノは1個の陽子や中性子に散乱するのではなく、 全体としての原子核に散乱する。 そして個々の中性子の寄与は単純に足し合わされるのではなく、 コヒーレントに強め合うのである。

二乗の利得

その帰結は注目に値する。 断面積は中性子の数の二乗に比例して大きくなる。

中性子を78個もつセシウムのような重い原子核では、 これは単一の核子での散乱に対しておよそ6,000という因子を意味する。

ほとんど相互作用しないことが最大の問題である粒子にとって、 6,000という因子は変革である。 それこそが、 ほかの場合には数千トンが必要になるところで、 数キログラムの検出器で足りる理由である。

43年かかった理由

フリードマン自身が検出は難しいと考えており、 彼は正しかった。

難点は反跳にある。 原子核はたしかにエネルギーを受け取るが、 それはごくわずかである。 キロ電子ボルトの何分の1かだけ動くのである。 そのような信号を妨害から区別することは、 当時の測定技術をはるかに超えていた。

2017年になってようやく、 オークリッジの核破砕中性子源で共同研究グループCOHERENTが最初の検出に成功した。 予言と確認のあいだには43年が横たわっていた。 パウリの提案と最初のニュートリノ検出とのあいだの26年に比べうる長さである。

そこから生まれたもの

この効果は今日、 もはや珍奇なものではなく、 一つの道具である。

それは、 原子炉の監視のために論じられているような可搬型の検出器を可能にする。 それは、 より小さな受信機によるニュートリノ通信を考えることのできる経路である。 そしてそれは同時に、 暗黒物質の探索にとっての限界でもある。 一定の感度を超えると、 そうした検出器は不可避的に太陽ニュートリノを見ることになるからである。

2025年、 実験CONUS+はこの効果を原子炉反ニュートリノにおいても初めて検出した。 COHERENTの場合よりも明らかに低いエネルギーにおいてである。

第二の経歴

フリードマンのもっともよく知られた仕事は、 まったく別の領域にある。 1976年、 彼はセルジオ・フェラーラ(Sergio Ferrara)およびピーター・ファン・ニューウェンハイゼン(Peter van Nieuwenhuizen)とともに、 超重力理論を築いた。 超対称性をアインシュタイン(Einstein)の重力理論と結びつける理論である。

この仕事によって三人は2019年、 Special Breakthrough Prize in Fundamental Physicsを受けた。

同じ一人の人間が、 ニュートリノ物理学の予言と量子重力の礎石とを寄与したことは、 理論物理学の中においてさえ異例である。

関連項目

出典

  • D. Z. Freedman: Coherent effects of a weak neutral current, Physical Review D 9, 1389 (1974).
  • COHERENT共同研究グループ: Observation of Coherent Elastic Neutrino-Nucleus Scattering, Science 357, 1123 (2017).