GALLEX
_2014-02.jpg)
GALLEX——ガリウム実験——は、 グランサッソ地下研究所における太陽ニュートリノの放射化学的検出器であった。 1991年から1997年まで稼働し、 その後はGNOとして2003年まで続けられた。
その意義は一つの数値にある。 233 キロ電子ボルトである。
なぜガリウムなのか
Homestake実験は塩素を用いており、 そのため814 keVより上のニュートリノしか検出できなかった。 これによって捉えられたのは、 ホウ素8の崩壊に由来するまれで高エネルギーのニュートリノだけであり、 全太陽ニュートリノの1パーミルの100分の1にも満たない。
太陽の主要な反応であるppチェーンが与えるニュートリノは、 高くても420 keVである。 それらは塩素には見えないままであった。
ガリウムはこれを変える。 ガリウム71からゲルマニウム71への転移は、 閾値がわずか233 keVである。 これによって初めて、 基本反応に由来する部分を捉えられるようになった。
そしてこれは技術的な改善以上のものである。 ppニュートリノの割合は、 ほとんど模型の仮定なしに予言できる。 それは太陽の光度から直ちに導かれるのであり、 生み出されるエネルギーの単位ごとに一定の数のニュートリノが伴うからである。 この割合を測る者は、 太陽モデルを検証しているのではなく、 ほとんど必然的な収支を検証しているのである。
装置
GALLEXはおよそ30 トンのガリウムを、 塩酸に溶かした塩化ガリウムとして用いた。 溶液は全体でおよそ100 トンあり、 1,400 メートルの岩盤の下のタンクに置かれた。
3週間から4週間ごとに、 生じたゲルマニウムが洗い出された。 100 トンの溶液の中の数十個の原子が問題なのである。
その方法はこうである。 気流が揮発性の四塩化ゲルマニウムを運び出し、 それが数段階にわたって濃縮され、 水素化ゲルマニウムに変えられ、 ごく小さな計数管に詰められる。 そこでそれは何か月もかけて崩壊し、 崩壊は1回ずつ記録される。
ゲルマニウム71の半減期は11.4 日である。 数か月でほぼすべてを数えられるほど短く、 抽出の作業に耐えるほど長い。
人工の太陽による校正
一つの反論がすぐに思い浮かぶ。 化学的な処理が本当にあらゆる原子を見つけること、 そして計数管が正しく働くことを、 どうして知りうるのか。
GALLEXはこれに、 可能なかぎりもっとも説得力のある仕方で答えた。 共同研究グループはクロム51による人工のニュートリノ源をつくらせた。 原子炉で専用に照射したクロムであり、 その放射能は正確に分かっていた。 この線源がタンクの中へ下ろされ、 測定された割合が既知の線源強度に対応するかどうかが検証された。
このような校正が1994年と1995年の2回行われた。 方法は正しく働いた。 物理学ではこれほど直接に行えることのまれな陽性対照である。
結果
GALLEXが見いだしたのは、 期待される割合のおよそ60パーセントであった。 つまり太陽ニュートリノ問題は低いエネルギーでも存在したが、 3分の1しか到達しなかったHomestakeよりは明らかに弱かった。
このパターンこそが本当の発見であった。 太陽モデルの誤りが、 このようなかたちでエネルギーに依存して働くことはほとんどありえない。 一方、 途中での変換ならばそれが起こりうる。 しかもMSW効果が予言するとおりのかたちでである。
こうしてGALLEXはSAGEとともに、 SNOが決着をつける何年も前に、 強力な論拠を与えた。
異常
校正測定の際に予期しないことが現れた。 測定された割合が、 線源強度から計算される値をわずかに下回ったのである。 SAGEも同じことを見いだした。
このガリウム異常は今日まで解明されていない。 これはステライルニュートリノの手がかりの可能性として論じられており、 また、 基礎となる原子核の遷移が想定より不確かにしか知られていないことの徴候としても論じられている。
関連項目
- SAGE — 並行して行われたガリウム実験
- 太陽ニュートリノ問題
- Homestake実験 — 塩素による先行実験
- MSW効果 — その説明
出典
- GALLEX共同研究グループ: Solar neutrinos observed by GALLEX at Gran Sasso, Physics Letters B 285, 376 (1992).
- GALLEX共同研究グループ: First results from the ⁵¹Cr neutrino source experiment with the GALLEX detector, Physics Letters B 342, 440 (1995).