メタマテリアル

メタマテリアルとは、 その性質が構成要素からではなく、 その配置から生じる材料である。 ギリシャ語の接頭辞 meta は「その先」を意味する。 つまり、自然が用意している材料の先、という意味である。
この考えは単純であると同時に射程が広い。 小さな構造を、照射する波長よりも著しく細かい模様に配置すると、 波は個々の部品ではなく、 平均化された性質を持つ一つの材料を「見る」ようになる。 この平均化された性質は幾何学的形状によって調整でき、 自然界のいかなる物質も持たない値をとりうるのである。
負の屈折率
最もよく知られた例は負の屈折率である。 ソビエトの物理学者、 ヴィクトル・ヴェセラゴ(Wiktor Wesselago)は1968年、 ある材料が負の誘電率と負の透磁率を同時に備えたら、 何が起こるかを理論的に考察した。 光は入射時に逆の方向へ屈折することになる。
そのような材料は当時知られていなかった。 30年後、ジョン・ペンドリー(John Pendry)が、 それをどう作りうるかを記述し、 2000年には University of California, San Diego の、 デイヴィッド・R・スミス(David R. Smith)らのグループが、 マイクロ波領域でこの効果を実験的に示した。 細い導線とスプリットリング共振器からなる格子によってである。
以来、メタマテリアルは独立した研究分野となっている。 2006年には、 ある特定の周波数について物体を、 いわば迂回させるマイクロ波用の最初のクローキング装置が実現した。
何に用いられているか
メタマテリアルはもはや実験室の珍品ではない。
- アンテナ — 従来ならより広い場所を要する、 指向性を備えた小型の構造
- 音響 — 特定の周波数を狙って遮断する遮音
- 光学 — 古典的な回折限界が許すよりも細かく分解するレンズ
- 力学 — 引っ張ると細くなるのではなく太くなる材料
- 熱 — 熱の流れを導く配置
すべてに共通するのは、 機能が物質にではなく構造に宿るという点である。
ニュートリノボルタイックとの関係
Neutrino® Energy Group にとって、この考えは中心的である。 ニュートリノボルタイックは、 特別な元素にではなく、特別な積層に基づいている。 ナノメートル領域のグラフェンと、 シリコンの交互の層であり、 特許 WO2016142056A1 によれば、 その数は 10~20、とりわけ 12 である。
ここでもメタマテリアルの原理が当てはまる。 炭素もシリコンも、 単独では特筆すべきことは何もしない。 期待が向けられているのは、 それらが共同で形づくる格子であり、 そしてこの格子がこの形では自然界に存在しないことである。
Pi Car の車体にも、 メタマテリアルが予定されている。 同グループはそこでそれを、 環境のフラックスを機械的な微小振動へ翻訳する手段として説明しており、 その振動がドープされたナノ層とともに共振を生じさせるとしている。
構造がこれほど効く理由
一つのたとえが助けになる。 レンガの家とレンガの道は同じ材料でできている。 一方は暖かさを保ち、他方は重さを支える。 違いはひとえに配置にある。
メタマテリアルでも同じことだが、 それが 100万分の 1 の大きさで起きているだけである。 そして配置が決めるのは、 暖かさや耐荷重ではなく、 波や粒子が物質とどう相互作用するかである。 この相互作用を受け入れるほかないのではなく、 設計できるということが、本来の利得である。
関連する項目
- グラフェン — 積層の一方の半分
- ドープされたグラフェン — 狙って変えられた格子構造
- Pi Car — 車体のメタマテリアル
- ニュートリノボルタイック — その背後にある方式
出典
- W. G. Wesselago: The electrodynamics of substances with simultaneously negative values of ε and μ, Soviet Physics Uspekhi 10, 509 (1968).
- D. R. Smith ほか: Composite Medium with Simultaneously Negative Permeability and Permittivity, Physical Review Letters 84, 4184 (2000).
- Neutrino® Energy Group: The Pi Car, thepi.energy.