ベータボルタ電池

ベータボルタ電池ベータ崩壊から電流を得る。 放射性の線源が電子を放ち、 その電子が半導体に当たって、 そこで電荷担体の対を生み出し、 それが電流として流れ去る。

原理は太陽光発電に似ている。 違うのは、 入ってくるのが光ではなくベータ線だという点だけである。 そしてこれはニュートリノボルタイックにとって最良の対照物である。 二つは同じことを約束しながら、 まったく異なるやり方を取るからである。

ベータボルタ電池はどう組み立てられているか

三つの部分で足りる。 線源、 半導体、 そして電極である。

線源となるのは、 純粋なあるいはほぼ純粋なベータ線放出核種であって、 その放射線を容易に遮蔽できるものである。

核種半減期備考
トリチウム(³H)12.32年きわめて軟らかい放射線、十分に扱える
ニッケル63100.1年長い稼働期間、今日の電池で一般的
プロメチウム1472.62年初期の応用で使われた

電子が運ぶエネルギーは数キロ電子ボルトの範囲にある。 それは薄い覆いや筐体そのものが放射線を止められるほど小さく、 重い遮蔽を要するガンマ線源とは異なる。

トリチウムなら紙一枚で足りる。 そのような電池は外から見れば無害であり、 危険なのはその物質を体内に取り込むことだけである。

何ができ、何ができないか

決定的な量は出力密度であり、 それは小さい。 ベータボルタ電池が供給するのは、 ふつうマイクロワットからミリワットである。 変換効率はたいてい1桁台の低いパーセント域にある。

理由は原理的なものである。 線源はその崩壊が出せるだけのエネルギーしか渡さず、 半減期が長いほど単位時間あたりの量は少なくなる。 長い稼働期間と高い出力は互いを排除する。

これによって用途の範囲もはっきりと定まる。 ベータボルタ電池はモーターを動かさず、 電話も充電しない。 それが電力を供給するのは、 要するものが非常に少なく、 非常に長くもちこたえなければならないものである。

  • 内容を数十年にわたって保つべき記憶素子
  • 誰も二度と訪れない場所にあるセンサー
  • ペースメーカー — 1970年代にはプロメチウム147を用いた電池が実際に埋め込まれ、 のちにリチウム電池がそれに取って代わった
  • 非常に長い稼働期間をもつ宇宙開発と軍事技術

長所は持続である。 ニッケル63を用いた電池は、 100年後にもまだ半分の出力をもつ。 化学電池でこれに近づけるものはない。

歴史と現在

最初の電池は1950年代に生まれた。 1970年代にはBetacel という、 何年も交換なしで済むペースメーカーが市場に出た。 リチウム電池がより安く、 より簡便になるまでのことである。

今日ではニッチな用途向けの商用トリチウム電池がある。 2024年には中国のある企業が、 数十年にわたってマイクロワットを供給するという硬貨サイズのニッケル63電池を予告した。 この種の予告はいつもどおりの慎重さをもって読むべきものである。 その背後にある物理は確立されているが、 それによって出力の等級が変わるわけではない。

ニュートリノボルタイックとの区別

違いは原理的なものである。

ベータボルタ電池は燃料を自ら携えている。 装置のなかには放射性の線源があり、 それは消費され、 認可と廃棄を要し、 その量が出力を制限する。

Neutrino® Energy Group の説明によれば、 ニュートリノボルタイックは放射性の物質を含まない。 それはどのみちあらゆる物体を通り抜けていく流れ、 すなわちニュートリノ宇宙線ミューオン、 電磁的な揺らぎ、 熱的な揺らぎからエネルギーを得ようとする。 この描像では部品は消耗しない。 消耗しうるものを何も携えていないからである。

大きさの桁も著しく異なる。 ベータボルタ電池は裏づけがあり、 商業的に入手できる、 出力の非常に小さい技術である。 ニュートリノボルタイックについて同グループは明らかに大きな目標を挙げており、 たとえばNeutrino Life Cubeでは 1~1.5 キロワットとしたうえで、 これらの値を開発中の設計目標であると明確に述べている。

二つに共通するもの

どちらも太陽と風が届かないところから出発する。 暗がりのなか、 地下、 装置の内部、 保守のない場所である。 そしてどちらも同じ基本の考えの上に立っている。 どのみち存在しているエネルギーは、 使われないままである必要はない、 という考えである。

関連する項目

出典

  • Particle Data Group および IAEA の核図表: 半減期と崩壊エネルギー。
  • Neutrino® Energy Group: Energy Harvesting, neutrino-energy.com.