コンスタンチン・ノボセロフ

コンスタンチン・ノボセロフ。
コンスタンチン・ノボセロフ。写真:Dyor, CC BY-SA 3.0, Wikimedia Commons

コンスタンチン・セルゲービッチ・ノボセロフ(Konstantin Sergeyevich Novoselov)(1974年8月23日生)は、 ロシア系イギリス人の物理学者である。 彼は2010年、 グラフェンに関する仕事によってアンドレ・ガイム(Andre Geim)とノーベル物理学賞を分かち合った。

36歳であった彼は、 戦後もっとも若い物理学のノーベル賞受賞者の一人であった。

経歴

ノボセロフはウラルのニジニ・タギルに生まれた。 製鉄所と戦車製造をもつ工業都市である。 彼はガイムと同じくモスクワ物理工科大学で学び、 1999年に博士課程の学生としてナイメーヘンのガイムのもとに来た。 2001年に二人はマンチェスター大学へ移り、 ノボセロフはそこで2004年に学位を取得し、 今日では教授職にある。

二人の協働は異例に緊密であり、 20年以上続いている。 ガイムは、 仕事の骨の折れる部分に耐える忍耐をもっていた人物としてノボセロフを繰り返し挙げている。

グラフェンが存在することの証明

粘着テープの方法はよく知られた図であるが、 それは最初の一歩にすぎなかった。 本当の学問上の成果は、 実際に原子1層を目の前にしていることを示すこと、 そしてその性質を測定することにあった。

これは決して自明ではなかった。 ランダウ(Landau)とパイエルス(Peierls)の理論的な仕事は、 厳密に二次元の結晶は室温ではそもそも安定でありえないことを数十年にわたって示唆していた。 熱運動がそれを壊すはずだというのである。 多くの者はその探索を見込みのないものと考えていた。

決定的な工夫

ノボセロフの寄与は、 試料の作製と測定にあった。

炭素の単層は事実上透明である。 顕微鏡でそれを見ることはできない。 工夫は、 ちょうど300 ナノメートルの厚さの酸化シリコン層を下地に用いることであった。 この厚さでは、 原子1層がその上に乗ったとたんに、 光の干渉が弱いながらも見分けられる色の違いを生み出す。

これによって、 ほかの方法では大きな手間をかけなければ検出できなかったものが、 普通の光学顕微鏡で見つけられるようになった。 この工夫がなければ、 粘着テープの方法は役に立たないままであっただろう。 結果を再び見つけ出すことができなかったからである。

2004年10月のScienceの論文はそのうえで電界効果を実証した。 この膜の伝導度は、 かけた電圧によって制御することができたのである。 グラフェンは半導体素子のようにふるまった。

この膜がそれでも安定である理由

理論的な懸念に対する答えは、 単純であると同時に美しい。 グラフェンは本当に平らなのではない。 第三の次元へ向かってわずかに波打っており、 この波が膜を安定させているのである。

まさにこの波打つ運動に、 のちにポール・ティバド(Paul Thibado)の研究グループが着目した。 自立したグラフェンの熱振動から電流を得られるかを調べたときのことであり、 それがラチェット効果である。

ノボセロフにとって安定性の副産物であったものが、 これによって可能なエネルギー源となった。

そのほかの仕事

ノボセロフは何年も前から二次元材料の積み重ねを研究している。 いわゆるファンデルワールス・ヘテロ構造である。 さまざまな原子層を紙のように重ね合わせると、 どの層も単独ではもたない性質が得られる。 2枚のグラフェンの層をわずかにねじるだけで、 そのふるまいは根本的に変わる。

物質の選択によってではなく配置によって機能を得るというこの考えは、 ニュートリノボルタイクにも、 メタマテリアルの着想にも見いだされる。

2012年以来、 彼は大英帝国勲章のナイトである。 今日はさらにシンガポールでも研究している。

関連項目

出典

  • K. S. Novoselov, A. K. Geim ほか: Electric Field Effect in Atomically Thin Carbon Films, Science 306, 666 (2004).
  • A. K. Geim, K. S. Novoselov: The rise of graphene, Nature Materials 6, 183 (2007).